メガネ手帖

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メガネが綴る日々の出来事、妄想、空想、よしなしごと

睨む男

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僕は今電車に乗っていて、僕の前におじさんが座っている。
そのおじさんはなぜだかわからないが、僕を激しく睨んでいるのだ。これはいったいどうしたことか。

僕は色々と理由を考えてみたが、足を踏んだ覚えもないし、そのハゲ頭を笑った覚えもない。およそ睨まれるようなことをした覚えなどないのだが、それでもおじさんは僕を睨んでいる。なぜだろう?

だんだん僕は腹が立ってきて、そのおじさんを睨み返した。こうすればおじさんは目をそらすだろうと思っていたのに、いっこうに目をそらす気配はない。こうなればもう負けてはいられない。こうして無意味とも思える戦いが始まった。

と思いきや、電車が次の駅に着くや否やおじさんはさっと電車を降りていった。「勝った。」それが別に勝ち負けとは関係のない事だとはわかっていたが、僕は小さな満足感にひたり、おじさんが座っていた席に座った。

「それにしてもあのおじさんは、どうしてあんなに僕をにらんでいたんだろう?」そんなことを考えながら、窓の外や乗客の様子をぼんやりと眺めていた。その時である。僕の目にとても素晴らしい光景が飛び込んできた。向かいの席で眠っているセクシーな女の人の・・・パンツが丸見えなのである。

少し開いた足からは、はっきりとその白いものが見えていた。僕は「これはおじさんに勝利したご褒美だ」と思い、そのチラリズムを堪能した。僕好みの女のひとは、まったく起きる気配がない。あと2駅、良い眺めが楽しめそうだと考えていると、ふとパンツが見えなくなってしまった。僕の前に若い男の人が立ったのだ。

電車はすいていて、他にも立つ場所はたくさんあるのに、どうしてこの男は僕の前に立つんだろう。

僕は、その男を激しく睨んだ。