メガネ手帖

メガネ手帖

メガネが綴る日々の出来事、妄想、空想、よしなしごと

君はネゴシックスに似ていると言えるか

「あいつって劇団ひとりに似てるよなー」
「ほんまやな、木村は猫ひろしそっくりやし」

今朝の電車の中での一コマである。 会話の主は高校生らしき2人。どうやら、クラスメートが誰々に似てる、 という話をしているようだ。

まぁよくある話で、「友達が誰それに似てる」なんてのはそれぞれの主観であるし、別に問題にすべきところじゃない。だがここで問題なのは、「友達の似てるっぷり」を力説するこの男が、どう見たってネゴシックス。 瓜二つって言葉を映像にしたらこんな感じ、それくらい似てる。

なんだろう、自分がネゴシックスに似てるって言われたから、その流れで誰々は~って話をしてるんだろうか。それだったらいいのだが、もし彼が「自分はネゴシックスに似てる」ってことに気付いてなかったらどうしよう。一緒に話をしてる友達も、気を使って彼にそれを告げれずにいるとしたら。

ひょっとして、これは僕の使命かもしれない。

なんとかして、彼に「自分はネゴシックスに似ている」という事実を伝えなければならない。しかし僕は今、1人で通勤の真っ最中だ。さすがに話しかけるわけにもいかないが、このまま見過ごすわけにもいかない。僕はすっかり途方に暮れてしまった。

僕も誰かと一緒なら、会話してるフリで「三十路が迫ってくるよっ!」 とかモノマネを披露し、暗に伝えることができたかも知れないのに。 ああ、僕はなんて無力で、ちっぽけな存在なんだろう。 1人では、彼に真実を伝えてあげることすらできないなんて。

その時僕は、「人は1人では生きてはいけない」という人類普遍の真理に気が付いたのだけれども、きっかけはネゴシックス