メガネ手帖

メガネ手帖

メガネが綴る日々の出来事、妄想、空想、よしなしごと

ブックレビュー : 水野学「センスは知識からはじまる」

【要旨】
今はあらゆるところで「センス」を求められる時代である。筆者は、「センス」とは「数値化できない事象を最適化すること」と定義し、それは閃きや生まれ持ってのものではなく、日々の意識やトレーニングである程度は身につけることができる「スキル」である、と説いている。

その「センス」を身につけるために、筆者は
・幅広い知識を蓄えること。「王道」や「普通」を知り、自分の中に「基準」を持つことで、良いものや悪いものが分かるようになる
・「流行り」を知ること。「王道」と「流行り」を知ることで、知識の幅がグッと広がる
・「共通項」や「一定のルール」がないかを考えてみる。見つけたら、それをできるだけ客観的な言葉に落とし込む。
という3つの方法を推奨しており、本の中ではそれらをどのように実践していくのか、具体的な例を添えながら説明されている。

【考察/感想】
自分にはセンスがない、センスに自信がないという人は多いと思うし、僕もその1人だ。そういう僕らにとって、センスとは天性のもの、あるいは特別な訓練をして身につけるものだと思い込んでいる。しかしこの本はタイトルを見ただけで「ひょっとして自分にも身につけることができるのでは」という気持ち、希望のようなものが感じられ、つい手に取ってしまった。まずタイトルにセンスがあるなと(笑)

そして書かれていることはたいへん具体的で、明日から実践できるレベルのことばかりで大変参考になった。個人的に1番腑に落ちたのは「客観的に把握したことを言語化することでセンスが磨かれる」という部分。例えばファッションを考えるにあたり、自分の身体的特徴について「足が太い」だけではなく、「太もも部分は太いがふくらはぎは細い」と詳細に把握すること。あるいは、人気のお店を見る時に「オシャレだな」ではなく「壁の色は明るめだが床の色は暗めという共通項があるな」というように言語化することで、次に違うものを見た時にそれと比較して考えることができるようになる、というもの。これは実に腑に落ちるので、様々なものに対して行う癖をつけていきたい。