備えあれば
会社近くのうどん屋でカレーうどんを注文したところ、「エプロンをどうぞ」と紙エプロンを手渡された。親切なサービスである。
だが僕は見た。僕の前の人もカレーうどんを頼んでいたのに、その人にはエプロンを渡していなかったことを。つまり、僕は「いかにもカレーうどんの汁を飛ばしてシャツを汚しちゃいそうな顔をしていた」ということだろう。なんて失礼なんだろう。
ただ自分で言うのもなんだが、その気持ちはわからないでもない。確かに僕はカレー汁を飛ばしちゃいそうな顔をしている。それは認めよう。
しかし舐めないで頂きたい。小学生じゃあるまいし、いい大人が汁など飛ばすワケがないだろう。「結構です」と突き返してやろうかとも思ったが、それはそれで感じが悪いので「ありがとうございます」と受け取ることにした。受け取ったものの、使ってたまるか。そう思いつつ、いやまぁせっかくの好意だしな、とつけておくことにした。そしてカレーうどんを食べる。
完璧の箸の運び。
優雅な麺のすすり。
汁など飛ばすワケがない。
そうして食べ終わり、さぁ見てみろとばかりに確認したら、見事にエプロンにシミができていた。ビックリするくらいしっかり汁が飛んでいた。 ナイスカバー。ナイスエプロンですレジの女の人。